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★★野戰郵便局・兵站郵便局編成★★
軍事郵便は從軍将兵・軍属の私信を逓送する制度で、軍兵站經理部の監督下にあります。普通郵便の他に、小包・為替・貯金も扱い、ほとんど内地民間の郵便局と変りません。内地の兵站基地には臨時の軍事郵便局が開設されており、そこが民間郵便局との接点となっています。前線に野戰郵便局(歩兵聯隊に1箇の割合)、主要な兵站地に兵站郵便局が設置され、必要に応じ遠隔地に出張所を分遣できます。要員は軍属で、内地逓信局から本職の郵便局員が派遣されてきます。出張所の分遣や業務量の増大により要員が不足する場合は、現地人を臨時に雇用します。以下の説明では、他兵科の編成と重複するところは省略してあります。
編成例:
軍經理部長
第1〜8野戰郵便局(前線後方)
軍兵站經理部長
第1兵站郵便局(兵站終點)
出張所(兵站岐路終點)
第2兵站郵便局(兵站主地)
出張所(飛行場等)
第3兵站郵便局(集積主地)(他軍の局ある場合は合同局とする)
出張所(占領都市等)
兵站基地司令部經理部長
第1臨時軍事郵便局(集積基地)(他軍の局ある場合は合同局とする)
【野戰郵便局・兵站郵便局・軍事郵便局】
《軍属・軍人階級対照》
逓信書記=判任文官・尉官待遇
逓信書記補=雇員・下士待遇
仕分手・夫長・計算手・雑夫長=傭人・兵卒待遇
給仕・郵便夫・雑夫=傭人・雑卒待遇
郵便長(逓信書記)(判任文官、尉官待遇)
逓信書記補4(出張所主任要員)
庶務掛(逓信書記補)
給仕
雑夫長(現地雇員)
雑夫(現地傭人:必要数)
郵便掛(逓信書記補)
仕分手2
郵便夫長
郵便夫11
為替掛(逓信書記補)
計算手
貯金掛(逓信書記補)
計算手
[車輛]小型自働貨車10、中型自働貨車
戰地にある軍人・軍属が私信の葉書を出す時は、無料なので切手は貼ってありません。封書と航空便は有料なので、切手を貼ります。値段は内地郵便と同じです。速達はなく、航空便が代わりになります。書留も現金書留もありません。また私用の電報・電話はありません。
葉書と切手は、割当数があり、定期に無料で配給されます。それ以上は、自分で葉書用紙や切手を酒保で買うことになります。
平時に外地に駐屯する部隊の兵隊さんの郵便は、すべて有料となります。値段は、どこから出そうとも内地と同じ料金なので割安です。
軍事郵便には、すべて「檢閲済」のハンコが押してあります。これは軍事秘密が洩れないよう、また内地の戰意高揚に影響を及ぼさないよう、所属部隊の宗務部が私信の檢閲をするからです。部隊が大損害を蒙っただの、いま部隊は何処そこに向っているだの、皆んな疲れたから早く内地に帰りたいと云っているだのと書くと檢閲は通過しません。
この軍事郵便以外に内地の家族知人との通信手段はないので、兵隊さんは暇があれば葉書を書きます。宗務部の檢閲に引っかかるような内容のものは、内地帰還者や民間人に頼んで、こっそり民間郵便として部隊外の普通郵便局から投函してもらうと云う手もあります。
俘虜の出す郵便は、國際条約で認められており、俘虜収容所の檢閲済のものが、中立國を経由して宛先に届きます。
戦争が開始された当初の敵國の郵便物は、配達を停止されますが、すべて中立國に転送され、そこから差出人に返されます。
小包の仕分作業:民家を接収した野戰郵便局

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