古代軍団

古代レミニア軍團の部隊編成を解説します。

　　→兵士
　　→分隊 contubernium
　　→百人隊 centuria
　　→中隊 maniplus
　　→大隊
　　→支隊 vexillatio
　　→軍團 legion

★★レミニア軍團編成★★

　　ギリシャ式の密集歩兵陣（ファランクス）から発達したローマ式軍團(legion)は、大陸において長く使用されました。軍團そのものは大規模な歩兵隊ですが、野戰に於いては２箇軍團約13,000名による方陣を組み、これに重装騎兵約1,200が加わり、豫備隊として現地の同盟軍團２箇が左右の各翼を固めて、總計30,000名の熟練戰士が戰場で鬨（とき）の声を挙げました。攻撃前進時には全歩兵が盾を槍で打鳴らし、その一糸乱れぬ威嚇音を聞くだけで敵は戦意を削がれたと云います。後には架橋材料や攻城兵器を備えた工兵や、輕騎兵・弓兵・投石兵・象兵・駱駝兵・舟艇兵など属州独特の兵器に習熟した土着民部隊も編入され、攻城・渡河・上陸・遊撃・機動などの特殊作戰が行えるように工夫されます。
この軍團編成は大陸の帝國や都市國家が競って採用するところとなり、属州であったレミニアにも標準的な軍團が配備されました。軍團だけでは兵力量が不足する時には、属州の民兵部隊が編成され、郷土防衛に当たりました。正規兵軍團の何倍もの兵力が存在したと云われてゐます。土地の自治権を持つ大酋長が率いる昔ながらの土民軍ですが、中には正規軍團と全く同じ編成装備の同盟軍と呼ばれる軍隊もありました。高度な文明を持つ昔からの都市國家や入植地が維持するもので、時とすると正規軍團より優秀なものもありました。

標準編成：

總司令部
首府に於ける指揮機構
獨裁官（臨時職の戒嚴司令官、國家の危急存亡時にのみ設けられ、政治・統帥の全権を委任された。執政官が合議選任し任期半年）dictator
執政官（帝國の元首、遠征軍司令官、首府市長。元老院が選任したが獨裁防止の為２名おり各自が軍の半分を直卒した。任期１年。執政官の名を年號に使用。）統領 consul
　　近衛歩兵隊（首府駐屯の正規軍團で精強、他軍團より優遇された）praetorium
　　近衛騎兵隊（翼騎兵隊から選抜の精鋭部隊、貴族・富裕層の子弟が志願） equites singulare augusti
　　宮廷親衛隊 palatini（野戰に出ない警察部隊）

内地の都市・外地の属州に於ける駐屯軍團
總督（都市・属州の行政・司法・軍事を統括。駐屯軍の指揮権を持つ。元老院議員でもある）
　　軍團長　tribunus laticlavius
　　　　軍監・軍監補６（帝國初期には、数名が元老院より派遣され、２名１組交代で軍團の指揮を執ったが、後に専任の軍團長が設けられたので副軍團長、軍團長副官、参謀、支隊長、戰闘間の戰區指揮官などの役目を担うようになった。）tribunus militum
　　　　騎兵隊長５ tribunii angusticlavi
　　　　陣營監 primus pilus
　　　　　　　　　　憲兵隊長、刑吏
　　　　　　　　　　軍團鷲章旗手
　　　　《第１大隊》
　　　　　　第１大隊長兼第１前衛中隊長兼前列百人隊長
　　　　　　《第１前衛中隊》
　　　　　　　　第１前衛中隊長兼前列百人隊長（第１大隊長が兼務）
　　　　　　　　　　　　教練掛、給養掛、建築掛、治療掛、獸醫掛
　　　　　　　　　　　　　　看護手
　　　　　　　　《前列百人隊》
　　　　　　　　　　前列百人隊長（第１大隊長が兼務）
　　　　　　　　　　　　副官、旗手、衛兵長、喇叭手
　　　　　　　　　　　　第１分隊（歩兵８）
　　　　　　　　　　　　第２～15分隊
　　　　　　　　《後列百人隊》
　　　　　　　　　　後列百人隊長
　　　　　　　　　　　　副官、旗手、衛兵長、喇叭手
　　　　　　　　　　　　第1～15分隊
　　　　　　《第１中衛中隊》
　　　　　　　　第１中衛中隊長兼前列百人隊長
　　　　　　　　　　　　教練掛、給養掛、建築掛、治療掛、獸醫掛
　　　　　　　　　　　　　　看護手
　　　　　　　　《前列百人隊》
　　　　　　　　　　前列百人隊長（第１中衛中隊長が兼務）
　　　　　　　　　　　　副官
　　　　　　　　　　　　副官、旗手、衛兵長、喇叭手
　　　　　　　　　　　　第１～15分隊
　　　　　　　　《後列百人隊》
　　　　　　　　　　後列百人隊長
　　　　　　　　　　　　副官、旗手、衛兵長、喇叭手
　　　　　　　　　　　　第1～15分隊
　　　　　　《第１後衛中隊》
　　　　　　　　第１後衛中隊長兼前列百人隊長
　　　　　　　　　　　　教練掛、給養掛、建築掛、治療掛、獸醫掛
　　　　　　　　　　　　　　看護手
　　　　　　　　《前列百人隊》
　　　　　　　　　　前列百人隊長（第１後衛中隊長が兼務）
　　　　　　　　　　　　副官、旗手、衛兵長、喇叭手
　　　　　　　　　　　　第１～15分隊
　　　　　　　　《後列百人隊》
　　　　　　　　　　後列百人隊長
　　　　　　　　　　　　副官、旗手、衛兵長、喇叭手
　　　　　　　　　　　　第1～15分隊
　　　　　　《第１豫備中隊》
　　　　　　《第２豫備中隊》
　　　　《第２大隊》
　　　　　　第２大隊長兼第２前衛中隊長兼前列百人隊長
　　　　　　《第２前衛中隊》
　　　　　　　　第２前衛中隊長兼前列百人隊長（第２大隊長が兼務）
　　　　　　　　　　　　教練掛、給養掛、建築掛、治療掛、獸醫掛
　　　　　　　　　　　　　　看護手
　　　　　　　　《前列百人隊》
　　　　　　　　　　前列百人隊長（第２大隊長が兼務）
　　　　　　　　　　　　副官、旗手、衛兵長、喇叭手
　　　　　　　　　　　　第１～10分隊
　　　　　　　　《後列百人隊》
　　　　　　　　　　後列百人隊長
　　　　　　　　　　　　副官、旗手、衛兵長、喇叭手
　　　　　　　　　　　　第1～10分隊
　　　　　　《第２中衛中隊》
　　　　　　　　第２中衛中隊長兼前列百人隊長
　　　　　　　　　　　　教練掛、給養掛、建築掛、治療掛、獸醫掛
　　　　　　　　　　　　　　看護手
　　　　　　　　《前列百人隊》
　　　　　　　　　　前列百人隊長（第２中衛中隊長が兼務）
　　　　　　　　　　　　副官、旗手、衛兵長、喇叭手
　　　　　　　　　　　　第１～10分隊
　　　　　　　　《後列百人隊》
　　　　　　　　　　後列百人隊長
　　　　　　　　　　　　副官、旗手、衛兵長、喇叭手
　　　　　　　　　　　　第1～10分隊
　　　　　　《第２後衛中隊》
　　　　　　　　第２後衛中隊長兼前列百人隊長
　　　　　　　　　　　　教練掛、給養掛、建築掛、治療掛、獸醫掛
　　　　　　　　　　　　　　看護手
　　　　　　　　《前列百人隊》
　　　　　　　　　　前列百人隊長（第２後衛中隊長が兼務）
　　　　　　　　　　　　副官、旗手、衛兵長、喇叭手
　　　　　　　　　　　　第１～10分隊
　　　　　　　　《後列百人隊》
　　　　　　　　　　後列百人隊長
　　　　　　　　　　　　副官、旗手、衛兵長、喇叭手
　　　　　　　　　　　　第1～10分隊
　　　　　　第３大隊
　　　　　　　　第３前衛中隊
　　　　　　　　第３中衛中隊
　　　　　　　　第３後衛中隊
　　　　　　第４大隊
　　　　　　　　第４前衛中隊
　　　　　　　　第４中衛中隊
　　　　　　　　第４後衛中隊
　　　　　　第５大隊
　　　　　　　　第５前衛中隊
　　　　　　　　第５中衛中隊
　　　　　　　　第５後衛中隊
　　　　　　第６大隊
　　　　　　　　第６前衛中隊
　　　　　　　　第６中衛中隊
　　　　　　　　第６後衛中隊
　　　　　　第７大隊
　　　　　　　　第７前衛中隊
　　　　　　　　第７中衛中隊
　　　　　　　　第７後衛中隊
　　　　　　第８大隊
　　　　　　　　第８前衛中隊
　　　　　　　　第８中衛中隊
　　　　　　　　第８後衛中隊
　　　　　　第９大隊
　　　　　　　　第９前衛中隊
　　　　　　　　第９中衛中隊
　　　　　　　　第９後衛中隊
　　　　　　第10大隊
　　　　　　　　第10前衛中隊
　　　　　　　　第10中衛中隊
　　　　　　　　第10後衛中隊
　　　　　　輕歩兵隊（少年兵や、重装歩兵の装備を自弁調達できない貧民の召集兵）veles
　　　　　　重騎兵隊
　　　　　　　　第１重騎兵中隊（騎士30、從騎士90）
　　　　　　　　　　重騎兵隊長兼第１重騎兵中隊長 tribunus
　　　　　　　　　　　　第１十人隊turuma
　　　　　　　　　　　　　　第１十人隊長 decurio
　　　　　　　　　　　　第２十人隊
　　　　　　　　　　　　第３十人隊
　　　　　　　　第２～10重騎兵中隊
　　　　　　歩騎混成大隊（騎兵１・歩兵３の割合）
　　　　　　翼騎兵隊（志願兵・市民兵・民兵の混成）ala
　　　　　　民兵隊（獵兵、工兵、弓兵、投石兵、象兵など属州特有の兵種で必要に応じ召集）auxilia
　　　　　　親衛騎兵隊（軍團司令部の護衛、翼騎兵隊から選抜）
　　　　　　護衛騎兵隊（軍團長の私兵、身邊警護用）
　　同盟部隊 foederati（属州の現地人部隊、編成も傳統ある獨自のものから正規軍と同じものまで様々なヴァリエーションがあった）

☆兵士　　→ top
もとは戰争のたびに百人隊が召集され、必要がなくなると復員しましたが、帝國時代に常備軍團となって、１７歳以上の有給志願兵で編成するようになりました。服役期間は２０年（同盟軍兵士は２５年）で、退役時には賜金がでました。あるいは金貨の代わりに属州の土地をもらえました。退役して初めて正式に結婚し法律上の一家を構えることができました。そのまま駐屯地の属州に土着する者が多く、故郷に帰ることは稀でした。
若い兵士hastatus は前衛中隊に属し、古兵princes or principes は中衛中隊、老兵toriarius は後衛中隊と、年齢に従って隊を移りました。
戰功を上げた者には、勲章が贈られました。敵陣に一番乗りした兵は陣地戰功冠、城壁に一番乗りした兵には城壁戰功冠が、敵船を拿捕した兵には海上戰功冠が、市民の命を救った兵士には市民救助冠があります。戰功を挙げた百人隊には、兵士全員に戰功章として銀に金象嵌のメダル・首飾・腕輪が授けられ、また百人隊長は名誉の槍や金冠を、軍監は金の聯隊旗を別に貰いました。

☆歩兵分隊（８名）contubernium　　→ top
１名分の携行装備：　青銅兜（羽根飾附）、青銅胴鎧、楯、両刃劔、重投槍、輕投槍
　　　　　　　　　　鋸、鶴嘴、鎌、籠、手鍋、鎖、革紐
　　　　　　　　　　糧食３日分（粥用の大麥のちに小麥粉、玉葱・大蒜など根菜、牛または山羊のチーズ、もしあれば燻製肉、味付剤として岩鹽：酢葡萄酒・蜂蜜・香草、水）
分隊行李：　騾馬・二輪車（天幕、豫備装備、糧食、演習用具）
（携行装備に鋸など土木工具があるのは、陣營建設を自力でしたからです。）

☆　百人隊（８５名：指揮班５名、歩兵８０、騾馬９、二輪車９）（第１大隊の百人隊は１２５名）centuria　　→ top
基本戦術単位の百人隊は１０箇分隊編成（１箇分隊８名）で、各分隊と百人隊長の行李がつきます。もともとは百人の兵士からなっていましたが、都市國家の拡大時代に６０名とされ、帝國時代には８０名（１０箇分隊）となりました。さらに第１大隊の百人隊だけは１２０名（１５個分隊）と増強されています。
中隊には将校と指揮班員５名がつきます。
《百人隊長》百卒長 centurio
兵卒が累進して百人隊長（中尉に相當）となります。武術に優れ、讀み書き算盤ができ、有力者の推薦が必要です。葡萄の幹を携えていますが、これは職掌を示す指揮杖です。怠惰な兵士を打つのにも使います。また普通の兵士と区別がつきやすいように、兜には半円形の羽飾をつけ、劔を左腰に提げ（兵士は右腰）、鎖帷子と脛当をつけます（兵士は胴鎧で、脛当なし）。兵士には厳しくあたりましたが、一方では兵士相手に高利貸をしたり、目こぼしのために賄賂をとったりする狡猾なところもありました。古参の百人隊長は後述するように順次、中隊長や大隊長に任命されて累進し、陣營監になると１年間だけ在職し、後進に道を譲るため退役します。退役が許されず更に高級の軍職に抜擢される者もいます。

＜百人隊幹部＞principales
《副官》optio
さしずめ少尉に相當。自分の百人隊長が中隊長や大隊長を兼ねる時は、百人隊の指揮を代わりに執ります。
《旗手》signifer
隊旗（signum）を捧持します。曹長に相當。兵士の給料・預金・糧食・装備の管理係。
《衛兵長》tesserarius
衛兵・歩哨を指揮し、その時に使われる合言葉や暗號を管理します。古参軍曹に相當。
《喇叭手》
角笛（cornisen）を吹き、隊の進退や陣營の合図をします。

☆　中隊（１７０名：指揮班１０名、兵士１６０名）（第１大隊の中隊は２５０名）manipulus　　→ top

　　　　　　　　◆
　　　　　副官●○○○○○○○○○○
　　　　　　　　○○○○○○○○○○
　　　　　　　　○○○○○○○○○○
　　　　　　　　○○○○○○○○○○
　　　　　　　　○○○○○○○○○○　後列百人隊
　　　　　　　　○○○○○○○○○○
　　　　　　　　○○○○○○○○○○
　後列百人隊長●○○○○○○○○○○
　　　　　　　　　　　①②③　　　　　　　　　　　　中隊
　　　　　副官●○○○○○○○○○○
　　　　　　　　○○○○○○○○○○
　　　　　　　　○○○○○○○○○○
　　　　　　　　○○○○○○○○○○
　　　　　　　　○○○○○○○○○○　前列百人隊
　　　　　　　　○○○○○○○○○○
　　　　　　　　○○○○○○○○○○
　前列百人隊長●○○○○○○○○○○
　兼　中隊長　　　　　①②③

（凡例：●将校、①衛兵長、②旗手、③喇叭手、◆荷駄）

《中隊長》
２箇百人隊（前列百人隊・後列百人隊）で中隊を編成します。中隊長は、古参の前列百人隊長（大尉に相當）が兼任します。
《教練掛》（以下の中隊役職は戰列中の兵が兼務します。特技兵 immunes として雑役を免除されます。）
武技から陣形の組方まで、新兵古兵を問わず教練を施します。平時より全隊員が毎日休みなく教練に参加します。戰闘になると、普段の訓練のとおり行動すればよいようになっています。准尉に相當。
《給養掛》cornicularius
給料から食事、装備まで兵士の面倒をみます。特務曹長に相當。
《建築掛》
陣營を造る時の測量から工事まで、いっさいの指揮をとります。陣營の形は決まっていて、作業は兵士自身がします。土工長に相當。
《治療掛》
戰闘時の負傷者を治療し、病人は陣營の病舎に収容します。外科手術や藥の調合もします。看護手に相當。
《獸醫掛》
軍馬・騾馬の治療・衛生をします。蹄鐵手に相當。
《看護手》
軍醫の助手として働くほか、戰闘では負傷者の収容に從事します。補助看護卒に相當。

☆大隊（５７０名：指揮班３０名、兵士５４０名）（第１大隊は１,２５０名）單に歩兵隊とも称す。　　→ top

《大隊長》
３箇中隊（後衛中隊・中衛中隊・前衛中隊）で大隊を編成します。大隊長は、古参の中隊長が兼任します。従って大隊の前衛中隊前列百人隊長が、大隊長と第１中隊長を兼務することになります。少佐に相當。
大隊長になるには、前衛中隊後列百人隊長から始めて、次の順序で進級します。
前衛中隊後列百人隊長→中衛中隊後列百人隊長→中衛中隊前列百人隊長兼中衛中隊長→前衛中隊前列百人隊長兼前衛中隊長兼大隊長
第１大隊だけは増強されていて、豫備中隊２箇を加え、５箇中隊から成ります。第１大隊長は、軍團の最先任百人隊長で、陣營監に次ぐ實力を持ち、幕僚會議での發言權もあります。戰闘時には全歩兵大隊の陣形を整頓し、各隊の進退を指揮します。中佐に相當。

第２豫備中隊■
第１豫備中隊■
第１後衛中隊■　第２後衛中隊■　３■４■５■６■７■８■９■10■
第１中衛中隊■　第２中衛中隊■　３■４■５■６■７■８■９■10■
第１前衛中隊■　第２前衛中隊■　３■４■５■６■７■８■９■10■
　　　　　　第　　　　　　　第　　第　第　第　第　第　第　第　第
　　　　　　１　　　　　　　２　　３　４　５　６　７　８　９　10
　　　　　　大　　　　　　　大　　大　大　大　大　大　大　大　大
　　　　　　隊　　　　　　　隊　　隊　隊　隊　隊　隊　隊　隊　隊
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

大隊本部の構成（前衛中隊の前列百人隊が大隊本部を兼ねます）

　　　　　副官●○○○○○○○○○○
　　　　　　　　○○○○○○○○○○
　　　　　　　　○○○○○○○○○○
　　　　　　　　○○○○○○○○○○
　　　　　　　　○○○○○○○○○○　後列百人隊
　　　　　　　　○○○○○○○○○○
　　　　　　　　○○○○○○○○○○
　後列百人隊長●○○○○○○○○○○
　　　　　　　　　　　①②③　　　　　　　　　　　　前衛中隊
　　　　　副官●○○○○○○○○○○
　　　　　　　　○○○○○○○○○○
　　　　　　　　○○○○○○○○○○
　　　　　　　　○○○○○○○○○○
　　　　　　　　○○○○○○○○○○　前列百人隊
　　　　　　　　○○○○○○○○○○　兼大隊本部
　　　　　　　　○○○○○○○○○○
　前列百人隊長●○○○○○○○○○○
　兼　前衛中隊長　　　①②③
　兼　大隊長

（凡例：●将校、①衛兵長、②旗手、③喇叭手）

☆支隊 vexillatio

軍團に於いて臨時に編成される分遣隊で、規模は必要に応じて大小あり、兵種も混成可能です。支隊旗 vexilliumがあります。
戰闘では、全軍團を數箇支隊に區分して、それぞれを軍監が指揮します。　　→ top

☆軍團 legion　　→ top 歩兵第１～10大隊と重騎兵隊は正規軍の軍團兵ですが、その両翼に展開するのは同盟都市國家の翼軍團 ala です。通常、正規軍團２箇、重騎兵隊１箇、翼騎兵隊２箇が中央にあり、その右翼と左翼にそれぞれ同盟軍の騎兵隊と歩兵大隊５～10箇が配置され、更に現地人首長が編成する民兵・私兵隊が特科部隊として加わりました。

◎軍團鷲章旗手 aquilifer

◎陣營監（軍團長代理）primus pilus　◎◎◎軍監（支隊長）legatus　◎◎◎◎◎◎軍監補（参謀・副官）
◎軍團長 legatus legionis

同盟軍　　　　　　　　　正規軍　　　　　　　　　同盟軍　　　　　　　　補助部隊
■■■■■■■■■■　　■■■■■■■■■■　　■■■■■■■■■■　　　
■■■■■■■■■■　　■■■■■■■■■■　　■■■■■■■■■■　　　
■■■■■■■■■■　●■■■■■■■■■■●　■■■■■■■■■■　●■■
　　　　　　　　　　　左第第第第第第第第第第右　　　　　　　　　　　　歩輕特　
歩　　●騎兵隊　　　　翼１２３４５６７８９10翼　歩　　●騎兵隊　　　　騎歩科
兵　　　　　　　　　　騎大大大大大大大大大大騎　兵　　　　　　　　　　混兵兵
隊　　　　　　　　　　兵隊隊隊隊隊隊隊隊兵隊兵　隊　　　　　　　　　　成隊
　　　　　　　　　　　隊　　　　　　　　　　隊　　　　　　　　　　　　大　
　　　　　　　　　　　　　　　●重騎兵隊　　　　　　　　　　　　　　　隊

●左翼戰區指揮所　　　　●中央戰區指揮所　　　　●右翼戰區指揮所

　　　　　　　　　　　　■陣營（軍團司令部）
　　　　　　　　　　　　●親衛騎兵隊
　　　　　　　　　　　　●護衛騎兵隊

　　　　　　　　　　　　●後方戰區指揮所

▲左側衛支隊（偵察斥候）▲後方支隊（偵察斥候）　▲右側衛支隊（偵察斥候）
　　　　　　　　　　　　▲後備支隊（拠點及兵站線守備）

▲支隊 vexillatio（必要に応じて編成された分遣隊。規模・兵種は可変で、正規軍・現地人部隊の混成も可）
●正規軍歩兵大隊（長期志願兵から成る重歩兵）
●正規軍重騎兵隊（貴族・地主の子弟が戰費自瓣で志願編成する重装備の決戰兵力。300騎と從士900騎から成り、敵側面からの突撃を得意とした）
●正規軍翼騎兵隊（戰費自瓣の平民志願兵から成る兵力。奇襲・追撃用）
●正規軍歩騎混成隊（戰費自瓣の志願兵から成る歩騎混成部隊。後方・側面の監視用）
●同盟軍騎兵隊（現地人志願兵から成る輕騎兵。歩兵陣の側面防御・強行偵察などに携わる）
●同盟軍歩兵隊（現地人志願兵から成る重歩兵隊。側面防御・總豫備として正規軍を援護）
■都市歩兵隊 cohors urubanus（主要都市の警察部隊）
●装甲騎兵隊 cataphractus or clibanarius（地方により特殊な装甲騎兵部隊が編成された）
●護衛隊（軍團長が私費で維持した護衛騎兵隊、４世紀頃から軍閥将軍が創設活用）beneficiarius
●親衛騎兵隊（軍團司令部と幕僚を護衛、翼騎兵隊から選抜）equites singulare

《軍團長》legatus legionis
軍團の指揮官です。中将に相當。軍團長の上には總督legatus augusti pro praetore があって、州内の駐屯軍司令官として政戰両面を掌握しています。大将に相當。属州總督は元老院が任命し、全軍最高司令官たる「執政官」consul（大統領ないし皇帝と同じ）の命令に服します。
《軍監》legatus
貴族が履歴を飾るため政治的に任命される名誉職で、複数人おり、軍團の幕僚として働き、特に軍團をあげての戰闘中は、擔任する戰區（數箇大隊の戰列からなる支隊）の指揮を執り、隷下の百人隊長に適切な命令を發して戰線を維持します。占領地の軍政に才能を発揮する者もあります。大佐に相當。
《軍監補》
貴族の子弟が履歴を飾るため政治的に任命される名誉職で、複数人おり、軍監候補生。軍團長・軍監の専属副官や参謀として勤務。軍監代理として支隊の指揮を執ることもあります。中佐・少佐に相當。
《守備隊司令官》praefectus castrorum
各地に駐屯する同盟軍の軍團長で、陣營監を勤め上げた将校が就任します。少将に相當。
《陣營監》primus pilus
最先任大隊長から進級し、陣營地の指揮をとります。軍團長不在時の代理として戰闘の指揮もとることがあります。兵隊にとっては出世の最終目標です。大佐に相當。
１年間この職を勤めた後は、退役またはより高位の職（民兵軍團を指揮する守備隊司令官が多い）に就いて、後進者に道を譲ります。
陣營は東西南北の各門と見張櫓付きの防壁で囲まれています。これは兵士が自分で工事したものです。總督幕舎兼軍團司令部、軍監幕舎、工場、病院、學校、市場、倉庫、炊事場、兵舎（百人隊ごとに１棟、中隊で２棟組）、馬や騾馬用の厩があります。建物は時代を経るにつれて、単なる天幕から木造、石造へと段々に頑丈になりました。
百人隊の兵舎は、約２０平方米の部屋に１箇分隊８名が雑居し、玄関の小部屋には装具を置きました。百人隊長は将校なので、兵舎の片方にある大きな一区画に住んでいます。ここは１０以上の部屋に分かれていて、百人隊の事務室や倉庫もあります。天幕の時には、百人隊長・隊事務室用の大き目の天幕１と、各分隊用の天幕１０箇を一列に並べ、馬繋場をはさんでコの字型に２箇百人隊が向き合います。

【軍團一覧】

★　北帝國軍

第１軍團（ノルダ）
第２軍團（ホーク）
第３軍團（キング）
第４軍團（インク）
第５軍團（サラマンダー）
第６軍團（ラトランド）
第７軍團（リイ）
第８軍團（ルジュリヴェロ）
第９軍團（ソンツリ）
第10軍團（マンダリン）
第11軍團（オルニア）
第12軍團（パペルニア）
第13軍團（セン）
第14軍團（トメニア）
第15軍團（スカイ）
第16軍團（フェルトサイト）
第17軍團（オスタリーチ）ガイツ支隊・レミニア支隊
第18軍團（アルジェントリア）
第19軍團（ソヴァジランド）
第20軍團（東部邊境）

★　獅子王國軍

獅子王軍團(レーベ）
ザフィア軍團（ザフィア侯國）
ボー軍團（ボー侯國）
デーモン軍團（デーモン自由國）

★　對獅子王國聯盟軍

ランデンドルフ軍團（ランデンドルフ王國）
ジルベリア軍團（ジルベリア王國）
シュメルツォーフェン軍團（シュメルツォーフェン市國）
ダーリエ軍團（ダーリエ市國）

【その後の軍團】

この編成は厳密な徴兵制度によって維持されていましたが、時代がくだるにつれ、代人を出したり、兵役免除金を支拂ったりして、戰士をお金で傭い入れ軍團の編成を維持するようになりました。装甲重騎兵の活躍と並行して、歩兵最強の陣形として長く使用されていましたが、火砲の採用により、長槍兵と小銃兵を組合わせたものに變化し、やがて銃劍の導入により火線の威力を増大させる横隊陣形になっていきました。
兵士は傭兵で戰争になると募集しました。たいてい氣候の良い春に戰闘が行われたので、農民や仕事にあぶれた職人、學資稼ぎの學生、浮浪者、犯罪者など雑多な人間が集まってきて、農繁期や冬になると幹部を除き解散しました。
特定の地方には出稼ぎ傭兵團があり、騎士團はそれぞれ馴染みの傭兵隊長と長期契約して十分な補助兵力を確保してから出陣しました。傭兵軍團は緊密な方陣を組んでいるので迅速な機動はできませんでしたが、重装騎兵の突撃によく耐え、時にはこれを全滅させるだけの實力を備えていました。

邊境にて蛮族の遊撃に苦戰

蛮族の攻城を迎撃

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